Designers voice |
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セヴランの語るSEVERIN SERGEというブランドの進む道と、セヴランというレザーアーティストについて
師弟と親友
師弟関係
昔ぼくには師がいた。ぼくの「どうしてもやらせてくれ」というワガママを聞いてくれたとても優しい人だった。ぼくはそんな師が好きだったし、ずっと一緒に仕事をしたいと思っていた。しかしある時、師と共に仕事を続ける楽しい毎日がだんだん変わってしまった。師はぼくを些細なことで叱るようになった。靴の履き方の左右でさえも。ぼくは時に理不尽に感じ、理解できなかった。そして師が嫌いになり、そのアトリエはやめてしまった。当時のぼくは何もわからなかった。ぼくが変わったのか、師が変わったのかもわからなかった。でも今は、師にとても感謝している。いつまでも元気でいてほしい。
ぼくにはとても印象に残っているある弟子がいる。彼は幼少期からの友人であった。ぼくはかつて幼少期、人間がとても嫌いだった。しかし彼はぼくとずっと友人でいてくれた。その時ぼくは、彼がなぜぼくと友人でいてくれているのかわからなかった。でも今ならわかる。ぼくは今は彼が好きだ。これからもずっと好きだ。ぼくと彼は何もかもが正反対だ。だけどぼくが彼を好きなことにはずっと変わりはない。そんな彼をぼくは幾度となく傷つけた。おそらくぼくが彼に傷つけらたことなど一度か二度ほどだ。しかしぼくは彼を百度は傷つけた。申し訳ない気持ちでいっぱいだ。そしてぼくたちは大人になった。今、彼は『革』という特殊な素材を使用するマニアックな職業をしているわけではなく、まっとうな仕事をし、まっとうな人生を歩んでいる。そんな彼は今でもぼくの親友でいてくれていて、一番の理解者でいてくれて、一番の許容者でいてくれている。今は申し訳ない気持ちよりも感謝の気持ちが勝っているほどである。そんな彼をぼくは一生の誇りであり続けたい。誇りたいではない。誇りであり続けたい。
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セヴラン
Severin
レザーアーティスト
Leather artist |
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